「今日はまた随分とデケー月が出たもんだ、かぐや姫でも降りてきそうな夜だと思ったが
とんだじゃじゃ馬姫が降りてきたもんだ」

キセルを持ち、こっちを見てニヤリ、と笑う高杉に向かって傘を向ける

「何言ってるネ、私はかぐや姫より可愛い神楽姫アル」
「クク、そーかぃ・・・そいつぁ失礼したな」

・・・コイツヤバイ

「お前何者アルカ」
「銀時から聞いてねーのか」
「銀ちゃん?」

高杉の口から聞き慣れた名前が出てきてピクリ、と反応する

「お前、銀時のツレだろう・・・こんなもん背負ってるから弱くなるんだ」
「・・・」

何だコイツ、銀ちゃんの何を知ってるの

ゾク

何度目かわからない寒気が走った
なぁ?というようにこっちを見てニヤ、と笑う

「キモチワルイネ・・・何が言いたいアルカ」
「わかんねーのか・・・じゃ教えてやるよ」

少し神楽に近づきキセルを吹きながらしゃべった

「お前らといるから銀時は今みてぇな腑抜けになっちまった。
昔のアイツは今みてぇなヤツじゃなかったんだよ、昔のアイツの中に獣がいた、
ソレが今はお前らのせいでいなくなっちまった・・・
俺はその獣を呼び起こしてぇんだよ、だからお前はじゃまだ、わかるか?」

獣・・・

「俺の中にもいる、まだ吠え続けてる・・・銀時の中にもいる、眠ってるだけだ」

眠ってる・・・

「今みてぇなアイツは許さねぇ、戻してやる、1人でのうのうと生きているヤツを許さない」
「ヤダ・・・聞きたくない・・・」

耳をふさぐ神楽、高杉は神楽の耳元で話し続ける

「真実に眼を向けろ・・・アイツを知ってるならわかるだろう」
「・・・」

確かにたまに銀ちゃんは鋭い眼をすることがある、でもその眼は自分の大切にしていた物を傷つけられたときだけだ
今の高杉のようになにかを破壊するためにみせる眼ではない
でも・・・昔は?

「やめろ!銀ちゃんは銀ちゃんネ!昔なんか関係ない!今の銀ちゃんが本物アル!」
「違うな、あのときの体中で血を求める獣がいた時が本物だ、白夜叉の時のアイツがな」
「違う!!白夜叉は銀ちゃんじゃないネ!今の・・・万事屋銀ちゃんが本物アル!」

涙目になりながら必死に否定する神楽
肩で息をする神楽に向かって高杉は言った

「じゃぁ・・・お前はどうなんだ」
「・・・え?」

私?私が・・・?

「お前、夜兎だろう、宇宙最強最悪傭兵部族・・・
ただ血を求め各星をさすらう蛮族なら一匹や二匹体の中に飼っているだろう、お前にはいないのか、体の中によ」
「・・・」

銀ちゃん達に会う前の仕事を思い出した
ただ言われるがままに相手を殴り続けた日々
それをなんの感情もないまま行っていた自分
思い出したくない、聞きたくない、封じ込めたはずの夜兎の血がうずく

「呼び起こせ、お前の中の獣を、血がほしいんだろう」
「!!」

体が震える
だめだ・・・ここで耐えないと今までの努力が無意味になる
耐えろ・・・出てくるな、おとなしくしてろ・・・

「俺にはわかるぜ、お前は求めてる、心の底から闘いを、血をな」
「言うな!やめっ・・・!」
「求めてる、獣も、お前も、人の血を、人を殺るときの感触を」
「うるさい!!」

やめろ、言うなそれ以上言わないで・・・!

「認めろ、お前の中の黒い獣を」
「やめろぉぉぉ!!」

だめだ・・・負けた自分に
自分の弱い心に

「ほぅ、お目覚めってわけか・・夜兎の血が」
「だまれっ・・・」

血がうずく
懐かしい感覚
今はもうどうすることも出来ない
この血の求めるよう、戦うだけ
もう自分で自分を止められない
もう・・・私も終わりネ・・・




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