口淋しいなんて、馬鹿な
「ひーじかーたさーん」
ドタドタと廊下を鳴らしてやってきた沖田は遠慮なく土方の部屋の襖を開いた。
「書類もってきましたよー」
「あぁ、サンキュー、それはいいんだけどね、おまえ遠慮って言葉知ってる?俺一応上司だからね?」
「すんませんしたー、覚えてたら次から気をつけたいなーって思いました」
「・・・もーいーよお前、お前に何かを期待した俺が間違ってたよ」
「あー、土方さんまーたタバコ吸ってたでしょう、空気悪いこの部屋、ゲホッ、臭い!!」
言いたい放題言った後、臭い!と言いながら沖田は立ち上がって
部屋の襖を全開にして満足気に笑いながらまた土方の前にドカッと座った。
「あー寒い、けど新鮮な空気が気持ち良い!!ね、土方さん!」
「気持ち良いけどね、俺は猛烈に寒い」
「タバコ吸って暖でもとったらどーですか」
「お前のその長い髪に火つけて暖とってやろーかコノヤロー」
チッ、と舌打ちしながらタバコを取り出して火を付けてくわえる。
「タバコって美味しいんですか?」
タバコを堪能していたら沖田が土方に問い掛ける。
沖田は未成年だからタバコは吸ったことがない。
だからこそ気になるのだろう。
「美味しい、っちゃあ美味しいけどなー」
「土方さんヘビースモーカーですよね、もう少し量押さえようとか思わないんですか」
「思わねェな」
そう言って沖田に向かって煙をふーっと吹き出した。
嫌そうに顔をしかめる沖田にニヤリと笑ってやる。
「ムカつく土方・・・もう、禁煙して下さい」
煙を顔にかけられたのが相当ムカついたのかキレ気味(というかキレてる)に禁煙を要求された。
「無理」
「なんで無理なんですか!臭いから禁煙しろ」
「(命令口調かよ)口が淋しくなるからな、禁煙は無理だ」
「口が淋しい・・・飴舐めたら良いじゃないですか」
「飴とかは口に含んだ瞬間かみ砕くから無理だ」
「舐めろ!」
(ったく、うるせーなコイツ・・・)
「とにかく口が淋しいから禁煙は無理」
「淋しくなけりゃいいんですか?」
「まぁなー・・・」
「・・・」
「・・・」
「なーに固まっちゃってんですか土方さん、生きてますー?」
「お、まえ何?!」
「何って、」
にぃ、っと嫌な笑みを顔に浮かべた(悪戯っ子みたいなあの顔)
「口が淋しいって言う土方さんにキスしてあげたんですよ、どうですか、これでもう口淋しくないでしょ」
なんていいアイディアなんだ!と言って土方のタバコを箱ごと奪い取る。
「おまっ、返せタバコ!」
「ヤでーす、ほら、それに」
土方さんはもう口淋しくならないでしょ?と言って部屋から出て行った。
「・・・なんなんだよ、アノヤロー」
(飴より君の、 )
Title by リライト:『ヘビースモーカー五題』