傷付けても手に入れたいものがある
「・・・ずっと好きでした、付き合って下さい!」
空は嫌になるぐらい青くて。
空気は鋭い冷たさで。
目の前にいる女の顔は物凄く赤い。
「高一の時から、ずっと・・・」
真っ赤な顔で俯いて話す女。
俺の目は女を通り越して青い空。
「だから、私と―「わりーけど」
目の前の女が言葉をつむぐ前にさえぎる。
次に言われるであろう言葉は分かっている。
縋るような目で見てくる女を見据える。
(・・・くだらねェ)
「俺はアンタの事なんかしらねーし、知りたいとも思わねェ。・・・早く、行けよ」
「!」
パッと顔を手で覆って屋上の出口に向かって走って行った。
「・・・バカみてェ」
「それは、あの子が?それともお前の事アルカ」
声のした方、後ろを見るとフェンスにもたれて立っている神楽がいた。
俺の方に向かって歩いてきて、少し距離をあけて止まる。
「盗み聞きたァいい度胸だねィ」
「バカか。勝手に聞こえてきただけヨ」
「ふーん」
よいしょ、とその場に座り込む。
神楽は立ったままだ。
「お前、いつも告白されて断ってるアルカ」
「さてねェ、でも一方的に気持ちを押し付けられても困るだけでさァ」
「・・・最低」
神楽を見上げたけど影になっていて見えなかった。
「あの子、お前の為にバレンタインチョコ作ったらしいヨ、下駄箱に入れて。
他のたっくさんのチョコに紛れてたけど」
「知らなかった、食べてねーし」
「この前は友達に話してた。お前の事」
「へェ」
「他の男に此処で告白されてたヨ」
「付き合えばよかったのにねィ」
「好きな人がいるから、って断ってた」
「・・・そーかィ」
「お前の事が、大好きだったのに」
「・・・ありがた迷惑だ。こっちは好いてくれ、なんて頼んでねェよ」
「お前は自分の興味ない女はどーでもいいアルカ。好きな女じゃなきゃ、
いくら傷付けてもいいと思ってるのカ?さっきの、子みたいに」
「・・・そーかもしれねェな」
「・・・女の敵ネ」
そう言って屋上から出て行った。
「・・・っくしょう。自分の事だともしらねェで」