「ホントに行っちゃうの」
いつもより弱々しい声
振り向きたくなる衝動を抑える
どうしても行きますか
朝、いつもより少し早く起きたから何となくやることもなかったから市中見回りに出かけた
朝早く、といってももう7時すぎだけど
いつものルートを巡回する
「あーねみぃ」
眠いのに何で早く起きてしまったのか、もっと寝たかったのに
自然と足はいつもの公園に向かっていた
いつものベンチに座りアイマスクをつけてもう一度寝る用意をする
少したった頃、ようやくうとうとしてきた時ポコ、と頭をたたかれた
「おい、無視アルカ」
「いや、別に・・・ってか人が気持ちよく寝てんのに起こすんじゃねーよ」
朝早くからこいつに会うとは思わなかった、犬の散歩か
「お前、いつもこんな時間から仕事してるアルカ」
「今日は早く起きちまったんでぃ」
「ふ〜ん」
変なかんじだ、いつもなら会って3秒で喧嘩するのに
思えばこうやってチャイナと話すのは初めてなんじゃねーのか、とかそんなことを思ってたらチャイナが言った
「初めてネ、こんな風に話すの」
「そーですねぃ」
「うん、でも結構楽しーアル」
「・・・」
一瞬心のなかを読まれたのかと思った
・・・まいった、ガラにもなくドキドキしてら
「さて、そろそろ帰らねぇとな」
「そーネ、朝ご飯食べてないからおなかぺこぺこアル!」
そう言って公園を出て別れた
屯所に帰ると土方さんが会議室から俺を呼んでいた
会議室に入ると隊士がそろっていた
席に座ると近藤さんが口を開いた
その内容は思いがけないことだった
「京都でテロリストによる戦があるらしい。それで上から真選組も幕府軍に加勢しろ、ということだ」
「本当に戦は起こるんですかぃ?」
「あぁ、先日犯行予告があったらしいんだ」
「はっ・・・自信あるみてぇだな」
「相手は過激派みたいだから結構長引くかもしれない、もしかしたら・・・万が一、ってこともあるかもしれん」
ここで近藤は言葉を切った
「皆には申し訳ないが、俺についてきてほしい」
もちろん反対する者はいない
数十人が屯所に残り、他は京都へ
もちろん沖田も京都組だ
近藤さんからこの話を聞いて思った
今思えば今朝早く起きたのはチャイナに会うためだったのかも、と
京都に行く前日の市中見回りでチャイナを見つけた
クルクルと傘を回し、定春とかいう犬と歩いてる
「チャイナァ」
行動より脳より先に口が動いた
ゆっくり振り向くチャイナ
「げ、お前かヨ」
「げ、とは何でぃ」
「煩いネ、また会っちゃったヨー」
口をとがらせ軽く沖田を睨む
ハハ、と笑い真面目な顔をしてチャイナを見る
「な、何アルカ」
いつもとは違う沖田に圧倒されたのか、たじたじと後ずさる
「・・・俺ぁ」
言葉を切る
「もう、お前とは会えないかもしれねぇ」
「え?」
不思議そうに顔で見てくるチャイナ
「俺、今度京に行って戦にいくんでぃ」
「戦・・・」
足下に視線を落とす
小さい声で呟いた
「いつ・・・行くネ」
「明日」
「明日?」
「あぁ」
ぷい、と後ろをむいて傘をクルクル回す
クルクル回る傘
クルクル回る俺の気持ち
「・・・チャイ「生きて帰ってこいヨ」
俺の言葉は遮られた
「わかってら・・・」
「・・・」
「んじゃぁ俺明日朝早いからもう帰るぜ」
くる、と後ろを向いて元きた道を戻ろうとしたら背中に視線を感じた
なんでぇ、と言おうと振り返ろうとしたらチャイナが叫んだ
「沖田ぁ!!」
----------名前
初めて呼ばれた、というか知っていたのか
「本当に・・・死んじゃヤだからネ!」
・・・ったく大声で、しかも大通りで叫ぶんじゃねーよ
背を向けたままヒラヒラと手を振る
その時小さいアイツの声が聞こえた
「ホントに行っちゃうの」
安心しろよ、絶対無傷で帰ってくるぜ
お前にもう一度会うために
もう一度会うことが出来るなら何だってやってやる
「行ってくらあ、神楽」
Title by 空高風感。