シン、と静まりかえる部屋。
眠りたいのに眠れないもどかしさでずっとつむっていた目を開いた。
目の前に広がる闇。
しだいに目が慣れてきて部屋にある家具の輪郭が見えてくる。

「・・・寝れないアル」

ポツリと呟く。
その小さな呟きは部屋に広がる闇に吸い込まれていく。
ゴロリと寝返りをうってなんとか寝心地のいい場所をみつけようとするがイマイチ場所が定まらない。
寝返りを打った拍子に手にコツンと何かがあたった。
その何か、を掴んで目の前に持ってくる。

「ケータイ・・・」

白いツルツルしたお気に入りの携帯。
つけているストラップがぶらりと揺れる。
眠れないし、特にやることもないからケータイをいじる。
いじると言っても画像の整理とかだけ(だってこんな真夜中にメールとかしたら不謹慎だし)
それでもいつのまにか電話帳を開いて探しだした電話帳を見つめる。

「電話、したいな・・・」

見つめる先には沖田総悟、の文字。
その下にはメールアドレスと電話番号、そして誕生日。
声が聞きたい、でも真夜中だし。
それにやっぱり不謹慎だし、もし寝ていたら迷惑だし。
そうだ、迷惑だよ、と思いこんで(じゃないと電話しちゃいそうになる)パタンとケータイを閉じる。
ケータイから突然着信メロディが鳴った。
このメロディは一人だけ。
慌ててケータイを取り通話ボタンを押す。

「もしもし!」
『そんな叫ばなくても聞こえらァ、びっくりした』
「どーしたアルカ?今ドコ?」
『今、外でさァ』

こんな夜中に未成年が歩いてて良いのか?
イヤ、ダメなんだけど沖田に言っても意味はないから言わないでおく。

『起きてたかィ?』
「起きてるから電話出たアル」
『そりゃそーか』

あぁ、なんて可愛くない返事。
あなたの声が聞きたかった、ぐらい言えればいいのに(言ってもからかわれそうだけど)

「あのね、沖・・・」

ピンポーン

玄関のチャイムが鳴った。
こんな夜中に一体だれ?
少し怖くてドアを見て立ちつくしていると電話とドアから同時に同じ声が聞こえてきた。

「開けてくれィ」
「お、沖田?!」

慌ててドアを開けるとそこには沖田が立っていた。

「ちょっと声が聞きたくて、でも声きいたら会いたくなっちまいまして」
「私も、アル。・・・会いたかったネ」

そう素直に言ってみたら沖田はちょっと驚いた顔をしたけどふんわりと笑った。

「俺も、会いたかったぜィ」


Title by Nitro!!!:『両思いの恋』