僕等の学校生活
二分遅刻
『あの日』の事はなかった事になった。
けれど『あの日』の事は俺達の中でしっかりと根付き、忘れ去る事は出来なかった。
プルルルル・・・
「へーィ・・・もしもーし」
『もしもーし、じゃねぇえ!何やってんだお前今日テストだろうが!』
テストテスト・・・あ、今日からだった。
『とにかく早く来い!』
「わかりやしたーじゃあ死ね土方」
『オイお前感謝の一つ・・・!』
土方さんの言葉を最後まで聞かずに電話を切る。
「・・・チッ」
まただ、また、やってしまった。
『あの日』の夢を見てしまう。
正しく言えば、あいつ、神楽の夢。
あの時抱きしめた小さな体、髪、震える声、それらが鮮明に、夢に出てくる。
いつも同じシーンから始まって同じシーンで終わる。
俺はその続きを見たいとも思うし見たくないと思う。
見てしまえばきっと、もっと彼女に依存してしまう気がする。
俺はそれが少し恐ろしい。
(今まで一つのモノに執着とか依存した事のない俺が一人の少女に依存してしまったら一体俺はどうなるのだろう、とか)
これは、この気持ちは、なんなんだ?
いや、わかってる、わかってるんだ。ただ認めたくないというか。
認めてしまったら何かが終わってしまいそうな気がする。
俺達の今までの関係、距離とかが。
(あぁ、でも『あの日』の時に距離は変わってしまったか。関係も)
(なら、あいつとの関係で失うモンは何もねェや)
カバンを掴んで家を飛び出る。
今日はテストだから筆箱さえ入っていればそれでいい。
自転車を学校の駐輪場に止めて下駄箱に着いたときに本鈴が鳴った(ヤベ、今日の監視教員だれだっけ)
「おはようごぜーまーす」
「おそようございますだろ」
「あぁ、よかった。銀八だった」
「よかった、じゃねーよ早く席つけ」
ほらよ、と問題を渡され席につく。
ちょうど始まったばかりのようでみんな名前を記入していた。
(まだカンニングにはならない、名前しか書いてないから)
席につくとき、隣に座る神楽をチラリと見てみた。
そしたら神楽もこっちをチラリと見た。
交わる視線、でも数秒だけだ。先に視線をそらしたのは神楽。
俺は馬鹿みたいに神楽から視線を反らせなかった。
視線を無理矢理テスト用紙に向け、それからテストに取り掛かる。
30分でテストを終わらせ、目を閉じる。
そして朦朧としてくる意識の中、このテストが終わったら神楽に話しかけてみようか、と考えた。
そこで俺の意識は飛んだ。
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