いつもと違うことに気づけなかった。


あの春の心地よかった太陽の日差しはどこへやら。



僕等の学校生活

保健室


「あっちー!」

叫ぶ3z生徒達。グラウンドのあちらこちらから同じような叫び声が聞こえる。

「しかし本当に暑いな・・・」
「土方さんがいるからじゃないですかィ?」
「それにしても暑いわね・・・。今年に限ってプールの工事をするなんて・・・ついてないわ」
「お妙さんの水着姿見たかっーゲファァ!」
「ふふふ、死にたいのかしら?」

今はこのうだるような暑さの中体育中。
俺たちは日陰のある体育倉庫の影で休憩中だ(悪い言い方をすればサボリ)
横で一方的な殴り合いが行われているのを見て見ぬふりをして(だっていつものことだから)
さっきから黙っている神楽に目を向ける。
このクソ暑い中上下ジャージを着て体育座りをして頭を膝に埋めていた。

「お前、暑くないのかィ?」

俺の質問を無視して黙っている。
こっちに気づいたのか、土方さんと目があって肩をすくめた。
(一体どうしたんだ?)(さァ、俺にはわかんねーや)

「オイ、お前どうしー・・・」
土方さんが肩を掴んで揺らした。
そしたらその反動で土方さんに向かって倒れた。

「?!」
「おい、大丈夫か!」
「神楽ちゃん?!」
「トシ、保健室に!」

土方さんがぐったりした神楽を抱き上げて走り出した。
土方さんの後を追って走る。
どうして気づいてやれなかったんだ?
いつもと様子が違うことに気づいたのに。
(くそっ!)
自分のふがいなさに吐き気がした。





「熱中症ね、あと貧血かしら」

保健の先生はにっこり笑ってそう言った。

「大丈夫よ、ちょっと出かけなきゃいけないからこの子についていてくれる?」
「ハイ」

そう言って先生は部屋から出て行った。
シャッとベッドの周りを囲むカーテンを引く。
白いベッドの中にはいつもより青白い顔をした神楽が眠っていた。

「・・・ゴメンな」

気づいてやれなくて。
小さくつぶやいて神楽の額にかかっていた前髪をはらう。
そのとき廊下からペタペタとサンダルの音が聞こえてきた。

ガラッ

「沖田、神楽は?」
「寝てまさァ」
「そーか・・・」

ペタペタと音を鳴らしてベッドに近づく銀八。

「ったく・・・心配してきてみたらアホ面して寝てるしよぉ」

そしてハァ、とため息をついて近くにあった椅子に座った。

「あ、沖田も。ありがとな」
「運んだのは土方さんでさァ」
「そーか、土方にも礼言わねーとな」

そう言って神楽を見た。

「んじゃー帰るか」
「コイツ、どうするんですかィ?」
「ん?あぁ、とりあえず家に連れて帰るわ。じゃーなぁ沖田君」

そう言って銀八は神楽を抱き上げ保健室から出て行った。

「・・・」

またジワリと暑い風が開いていたカーテンから部屋に吹き込んできた。
そろそろ夏が始まりそうだ。


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