チャリ通
僕等の学校生活
自転車通学で
入学式から早一ヶ月。
桜もすっかり散って道が桜の絨毯になる。
(キレイ、っちゃぁキレイだけど雨の日は滑りそうで怖い)
銀八がめんどくさがるからそろそろやるべきじゃないの?と言う声が上がる席替えもやっていない。
というか今の席は結構良い席だから動くのは嫌だ。
日当たりが良くて居眠りには最適だから。
あの、屋上での出来事があってから神楽とは少し喋るようになった。
でも、一言二言だけ。
近藤さんが姐さんを追いかけ回すから俺達と神楽達が一緒に行動したりもするけど、2人で仲良くお喋りなんてありえない。
隣の席なんだから、という気もするがきっかけがないと非常に話しにくい。(やっぱりきっかけって大事だ)
だからそんなきっかけがないから今のこの関係ができあがっているということだ。
もし話すきっかけがあればきっと今より喋るようになるだろう。
むしろ相性が良いかもしれない(なんて思ったけどそれはありえないだろう)
そんなことをテレビを見ながら考えていた。
テレビの上にある時計を見るといつも家を出ている時間を10分も過ぎていた。
「やっべぇ・・・」
チャリをかっ飛ばしてギリギリといったところか。
しかもなんてこった、今日は風紀委員が校門でチェックをする日だ(俺も風紀委員)
遅刻したら土方さんがまたキレる。
残っていた牛乳を飲んで自転車の鍵を持ってちゃんと戸締まりをして駐輪所へ急ぐ。
いつもよりスピードを上げていつもの道を行く。
すると前方にピンク頭発見。
また少しスピードを上げて追いつく。
「遅刻かィ?」
「なっ・・・沖田!」
驚いてこっちを見る神楽。
「早くしねーと遅刻すんぜ」
そう言って神楽を追い抜かす。
一見非常な人間に見えるだろうが自分が助かるためにはしょうがない。
尊い犠牲、ということで。
さらば、神楽。
なんて思ってたら後頭部に何かが当たった。
そして何かはドサ、と地面に落ちた。
自転車を止めて何か、を見ると薄ピンクの手提げカバン。
少し後ろに立っている神楽に視線を移すと、よし!とガッツポーズをしていた。
いやいやいや、よし!じゃねーよ。いてェよコレ。
「ヒットォォオ!ちょっと待てヨ沖田ァ!」
うっわ、何かすげー嫌な予感。
俺のそばに来て手提げを拾ってニカ、と笑った。
「載せて」
やっぱそうくるか。
「嫌でィ」
「何で!」
「手提げ投げるか?普通。人にもの頼む態度じゃねーだろソレ。呼べや、名前を」
「レディーにこんなトコで叫べってか」
「レディー?ドコに?」
「テメッ、目洗浄した方が良いんじゃないアルカ?じゃなくて学校まで乗せてけ!」
「だからソレが人に頼む態度か!」
「細かいアルお前。あと5分で門しまっちゃうアル」
「ちっ・・・ホラ、早く乗れ!」
結局根負けして乗せてやる。
「重っ。やっぱ降りろ」
「ざけんなヨ、早く出発ゥ!」
グッとペダルを踏み込んでスピードを出す。
間に合わなかったらこいつのせいだ。
「キャッホォォオ!風!風になる!」
「うるせぇ!耳元で叫ぶんじゃねェ!」
叫ぶ神楽を何とか黙らせる。
ようやく校門が見えてきた。
「あ、たくさん人いるアル」
「まだチェックしてんのかィ・・・土方め」
そんなこといってるうちに校門に近づく。
「総悟!おまえまた遅・・・ってオイ!何やってんだぁあ!」
間一髪で土方さんは自分に向かって猛スピードで突っ込んだ俺(チャリ+神楽)を避けた。
俺的には避けられなかった方が良かったのだけど。
「総悟ー!2人乗りはダメだぞー!」
「すいやせーん」
「近藤さん?!注意すんのはそこじゃねーだろ!」
「まーまートシ。けど総悟の奴、いつの間にチャイナ娘と仲良くなったんだ?」
「・・・さァな」
*
チャリを駐輪場に止めて教室に行く。
銀八はまだ来ていなかった。
ハァ、とため息をついて席に座る。今日は朝から疲れた。
「沖田」
「あ?」
横を見たら朝と同じくニカ、と笑った。
「助かったアル、またよろしくナ」
「・・・またかィ」
疲れたけど、結果的には良かったのかもしれない。
きっかけ、が出来たから。
この日がきっかけで俺等の関係は隣の席の奴、からすさまじいケンカ相手、になっていった。
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