春は睡眠の季節だ!


僕等の学校生活

君に出会ったのは昼休みのこと


新学期が始まって次の日、銀魂高校ではすでに授業が始まっていた。
(ふぁー・・・ねみィ・・・)
春のあのふんわりとした独特な空気+桜の甘い香りがまるで催眠術をこのクラス全体にかけているかのようだ。
その証拠にクラスの半数以上がウトウトしている。先生も眠そうだ。

あと数分で授業は終わる。昼休みのあとは銀八の授業だ。
こうなったら銀八に次の授業は昼寝にしよう、と言いに行こうか(銀八なら叶えてくれそうだ)
そんなことを考えていたら授業が終わっていて、席を立ったら先生に呼ばれた。

「沖田、そこの教材職員室に持ってきてくれ」

教卓の上には数冊の資料集。
(まァ、銀八に会いに行くついでだし)

「オーイ総悟、昼飯くおうぜ」
「俺ちょっと職員室行ってくるから先行っててくだせェ」
「屋上にいるからなー」

近藤さん達が教室からでていくのを見送ってから資料集をひっつかんで職員室に急いだ。

***

「しつれいしやーす」

ガラガラと職員室の建て付けの悪いドアを開けて中に入る。

「お、ありがとうな」
「いえ」

資料集を渡して銀八の机を目指す。
職員室はコーヒー臭かった(コーヒーは苦手だ)
コーヒーの苦い香りをかいくぐり、ようやく銀八の机にたどりついた。

「−−−−−?」

そこには見慣れない、ピンク色の、頭。

「沖田か、どうした?」

銀八が俺に気づいて声をかけてきた。
すると、そのピンク頭も折れに気づき、くるりとふり返った。
ピンク頭は今のご時世ではありえないような牛乳瓶の底のような厚い眼鏡をかけていた。
だから目を見ることは出来なかった。

「コイツ、中国からの留学生な。うちのクラスだから。挨拶は次の俺の授業の時にやるから」
「はぁ・・・よろしく?」

なぜか疑問系になってしまったけどピンク頭はペコ、と頭を下げた。
なんだか居心地が悪くて、そういえば、と近藤さん達が待っていることを思い出した。
銀八に挨拶して弁当のパンを買い、足早に屋上に向かった。

*

「遅かったなー」
「銀八につかまったのか?」
「すいやせん、銀八っていうか・・・」

ピンク頭がいたから。

「あ、うちのクラス、転入生くるみたいでさァ」

さっき見たピンク頭のことを3人に話した。

「へぇ、中国からの留学生」
「ピンクってすごいなぁ」
「今日からくるのか?」
「次の銀八の授業で挨拶するとか言ってたから多分今日からだと思いまさァ」
「ま、お妙さんよりいい女ではないだろうな!」

ガハハと笑う近藤。

「・・・近藤さんもよく続くな」
「全くでさァ、あ、でも」
「?」
「姐さんはキレイ、ってかんじだけど、ピンク頭はそんな感じじゃなかったですぜ」

だいたい顔の半分はあの瓶底眼鏡で見えなかったし、ちょっと逆光だった。

「それじゃぁ、どんな人か楽しみですね」
「・・・あぁ、そうですねィ」

*

昼休みが終わり、教室に向かう。
次は銀八の授業、ということはピンク頭の紹介。
このことを知っているのは俺たち4人だけだ。
一体どんな奴なんだろうか、からかいがいのある奴だと良い。

ガラガラ

(来た)

いつもなら机に突っ伏しているけど今日は違う。
前に立った銀八を見るがピンク頭はいなかった。廊下で待たせているんだろう。

「授業始める前にうちのクラスに来た転入生紹介すんぞー」

とたんにざわめくクラス。もちろん俺たち4人を抜かして、だ。

「おーい、入ってこい」

クラスの全員の目が教室の入り口に注がれる。
今度は俺たちも、だ。

ガラッ

銀八の時とは違い、勢いよく開かれたドア。
背筋をピン、とのばして入ってきたのは昼休みに見たピンク頭。
ざわめく教室。
ざわめきの内容はピンク頭、とか瓶底眼鏡、と言ったところか。
職員室では見れなかったピンク頭をまじまじと見る。
職員室では座っていたからわからなかったけど、結構背が小さい。
あと、肌が白い。かなり白い。大丈夫か、っていいたくなるぐらい白い。

「ホラ、挨拶」

銀八に促され、コクン、とうなずく。
そしてスウッ、と息を吸った。

「神楽アル、中国から来たネ、よろしくお願いしますアル!」

おぉ、昔の中国人のイメージ通りのアルアル語だ。
パチパチと拍手が聞こえて自分もつられて拍手する。
とりあえず、からかいがいはありそうな気がする。

「じゃー神楽の席はー・・・沖田の隣な、一番後ろの窓際から二列目の席」
「ハーイ」

狭い机の間を縫って席まで歩いてくる。
ピンク頭、じゃなくて神楽の通るところをみんなが見る。
(転入生って、結構注目浴びるもんなぁ)

がたん、と椅子を引いて座った神楽を横目でチラ、と見る。
(近くで見るとよけい白く見える)
俺の視線に気づいたのか俺の方をチラリと見てきた。

「さっきも言ったけど、よろしく」
「・・・ヨロシク」

なんだその間は。気にくわねぇ。
せっかく挨拶してやったというのに。

「んじゃー授業はじめっぞー」

その声で教室の空気は変わってまたあの催眠状態になる。

(あ、銀八に頼むの忘れてた)


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